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  • 執筆者の写真tomoaki hagiwara

認知症高齢者と疼痛評価

認知症の治療を受けている高齢患者さん、骨折しているにも関わらず、痛みを表現する日と痛みを表現されない日がある。


認知症が疼痛に対して何か影響があるに違いないと思い、学術文献を探してみた。


すると看護学系の文献に興味深い内容がみられた。


290名を被験者にした実験による文献であるが、


「認知症高齢者は認知機能の低下に伴い痛みがあっても痛みを経験として認知、記憶したり、言語的に表現できなくなってくる。ケアの現場では、疼痛は不安や苦悩などと混乱される事も多く、第三者が痛みのセルフレポートでは、評価する事が難しい」


という事であった。


骨折の時に、痛みは当然出てくるものであると考えられているが、

認知症高齢者の場合、異常可動性のみられない骨折では、

疼痛の度合いによって骨折を疑うというのは、危険な選択肢だと思われる。


痛くないから、骨は大丈夫!


という発想は、骨折は痛いというバイアスのかかった誤った判断につながりかねないという事だ。


事実、同じ文献内で、実に8割の認知高齢者の痛みは放置されていると明記されている。


疼痛以外にも、受傷機転、腫脹や血腫、軋轢音、超音波画像所見などを駆使して、

客観性の高い判断をして、日々の臨床に臨む必要がある。


これらは至極臨床では当たり前のことではあるが、

気を引き締めて、きっちりと日々の臨床をこなしていきたいと思う。



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